(ばら戦争)
続くばら戦争では、大貴族は、名目上は国王のために戦っていたが、その実、自分たちのために戦っていた。どちらの陣営につくかは、しばしば個人的な思惑によって決定されていたことは間違いないことであったが、それでもだいたいにおいて、貴族はランカスター家の味方をした。その一方で、ヨーク家の力の源泉は、より身分の低いジェントリーや町の住民たちにあった。パーシー一族やクリフォード一族にしてみれば、国王などいないほうがよかった。しかし、身分の低い者たちにとっては、強力な君主が貴族たちのやりたい放題に睨みをきかせてくれないと死活問題であった。戦いがヨーク家の王と無能なヘンリーとの間のものであるうちは、どちらが人民に人気があるかは明らかであった。しかし、戦いが同じくらいの能力の者どうしの単に個人的な闘争にまで落ちてくると、人民は引いた。そして、どちらがイングランドの国王にふさわしいかを、ごく少数の利害関係者たちがボズワース[1] において決するに任せた。
[1] ボズワース(Bosworth):ボズワースの戦い。(1485)リッチモンド伯ヘンリー7世の率いる軍隊とイングランド国王リチャード3世の率いる軍隊がぶつかり、前者が勝利を収めた。そして、ヘンリー7世として即位し、テューダー王朝が始まった。
(参考資料)
1.エドワード4世像

画像の出典:Wiki, Eng, ‘Edward IV of England’
画像の権利関係:Public Domain
2.リチャード3世像

画像の出典:Wiki, Eng, ‘Richard III of England’
画像の権利関係:Public Domain
3.ヘンリー7世像

画像の出典:Wiki, EN
画像の出典:Wiki, Eng, ‘Henry VII of England’
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