プロテスタンティズム

 (プロテスタンティズム)

 新しい学問の精神は、かくしてそれ以前の時代の禁欲主義から離れていった。それはプロテスタント精神の中に同盟者を見つけた。ルターがすでに信仰義認説を唱えたときに、プロテスタンティズムの中心的思想を表していた。それはまさに中世における宗教思想の完全な反転であった。修道士たちはかつていった。「もしもあなたが霊的でありたいのなら、肉体を殺しなさい。そうすれば、精神は神と出会い、生きるであろう」と。しかし、ルターはいう。「神と出会うにおいて精神を生かしなさい。そうすれば、肉体は神の意志に従うでしょう」と。

 (ヘンリー8世が直面した困難)

 この神と人間の直接的、個人的関係に関する教えは、次第にイングランド教会に浸透していくのだった。そのイングランドへの導入は政府に難しい任務をつくった。ヘンリー8世は互いに争う党派間の平和を保つ義務に直面した。彼の臣下の大部分は革新を嫌い、先祖がやっていたのと同じように礼拝し、信仰することを望んだ。プロテスタントは、数は少なかったが力あふれていた。ルターの教えはすぐにツヴィングリの教えに道を譲った。ツヴィングリの教えは古来よりの教えに対してさらにいっそう敵対的であった。その弟子たちは、時には荒っぽい言葉で、イングランド人が親しんできた原則や習慣を攻撃した。

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